古紙
古紙のリサイクルとは
古紙ベーラー
紙の消費は、経済の発展とともに増加することから、「紙は、文化・産業の水準を測るバロメーター」と言われてきた。新聞、雑誌、段ボール、トイレットペーパー、コピー用紙など、紙は、社会生産において必要不可欠な素材であるが、身近なリサイクルの対象品としてイメージしやすいものである。循環型社会の構築が必要とされる中で、森林資源の保護、ごみ減量などの観点からも、古紙のリサイクル促進は、これからも重要な課題となる。
古紙回収
古紙としての紙・板紙の発生源としては、一般家庭、小規模発生エリア(商店街、オフィスビルなど)、大規模発生エリア(印刷・製本工場、出版社・新聞社、段ボール・紙器工場など)などが挙げられるが、古紙として発生する紙、板紙をリサイクルルートに乗せるためには、分別排出が必要となる。即ち再利用できるものと、ごみを分け、さらに紙・板紙を新聞、雑誌、段ボール、など品種別に分別することが求められる。特に、紙・板紙の中に、禁忌品(紙以外の物、中でもカーボン紙、粘着物のついた封筒など)が混入することは避けなければならない。
古紙は、発生源から様々な回収形態を経て、問屋ヤードに持ち込まれ、ここで選別、加工、梱包されて最終需要化である製紙メーカーに納入されている。古紙問屋は、持ち込まれた古紙をプレス機(ベーラーマシン)にて加工処理を行う。また近年では、中国、韓国、台湾、インドネシアをはじめアジア各国に対して輸出されるルートも確立されてきている。
古紙の市場規模と価格
圧縮梱包された古紙
2013年度において国内で消費された紙・板紙は2761万696トンであったが、これに対して古紙回収量は2196万1131トンとなり、古紙回収率は79・5%となった。一方、紙・板紙生産における古紙利用率は63・8%で、国内における古紙の消費量は1716万2371トンとなっている。古紙消費量のうち、主な品種をみると、新聞は413万5079トン、雑誌は213万4549トン、段ボールは829万2219トンなどとなっている。2013年度の古紙消費量は前年度比2・8%増加となり、2012年度の1・5%減少から増加に転じてきている。2013年度における古紙の輸出入についてみると、古紙輸出量は470万5711トン、古紙輸入量は12万6129トンとなり、輸出量は前年度の514万8827トン(年度ベース過去最高)と比較すると減少したが、これは国内における古紙需要の増加に伴う逼迫化の影響と見られている。2014年度前半に関しては国内の古紙需要は消費増税などの影響から減少傾向が見られ、その一方で古紙輸出数量は4月~5月と45万トン台まで数量は回復してきている。
古紙の市中価格(問屋ヤード持ち込み)に関しては、2002年2月ころまでは、キロ当たり(以下同じ)新聞2~3円、段ボール0~1円、雑誌0円(一部マイナス1円)と実質的に戦後最低と言われる低水準にあった。古紙業界では、国内における供給余剰対策として古紙輸出を増やし、その結果古紙の価格は回復をみせた。2013年度の国内における製紙メーカーの古紙購入価格(東京都内およびその近郊の古紙問屋店頭渡しベース)をみると年度スタートの2013年4月は、トン当たりで新聞1万4000円、雑誌1万2000円、段ボール1万3000~1万4000円であった。このうち新聞、雑誌は年度末の2014年3月まで価格は据え置きが続いたが、段ボールは2013年8月から11月にかけて値上げの動きが続き、3月末時点で1万5000~1万6000円となっている。年度における段ボールの消費は前年度比5・3%増加と高い伸びとなっていた。
また、古紙輸出価格を関東製紙原料直納商工組合ベースでみると、年度スタートの2013年4月は段ボール1万6000円台、新聞、雑誌は1万7000円台であったが、2014年2月には、段ボール、雑誌は1万8000円台、新聞は1万9000円台まで上昇した。為替相場の円安基調、アジア市場での需要拡大などから輸出市況は上昇局面が見られた。その後、3月以降は、古紙輸出市況は一転して下落局面が続くところとなった。国内における古紙の需給は、リーマンショック以前のピーク時点と比較すると落ち込んだ状況が続いている。なお、全国製紙原料商工組合連合会では、古紙の品質向上を目指してジャパンブランドの普及に取り組んできている。