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WEB資源新報BackNumber 2015年6月

経産省 鉄・非鉄横断で強化プラン 再編等基盤強化とグローバル戦略提示

鉄・非鉄金属素材は、 我が国に外貨をもたらす基幹産業であり、 地域の経済、 雇用創出を支える大きな存在だ。また世界的に需要の拡大が見込まれる自動車、航空機、エネルギー、医療機器等様々な分野に競争力のある部素材を供給している重要な産業と位置付けられている。しかし一方で、内には 「ユーザーニーズの高度化・多様化と我が国からの先端技術の流出」、外には 「中・韓他の海外競合者における研究開発の強化や生産・輸送体制の拡充」 等によって、 これまで保たれていた我が国金属素材産業の優位性は急速に縮小し始めているのが現状だ。 このような状況の下で経済産業省はこの程、金属素材産業を所管する「鉄鋼課」と「非鉄金属課」という縦割り行政の枠組みを超えた「素材産業の競争力強化プラン」を策定、今回初めて一つの研究会としてこれを取り上げ、急速に進展するグローバル化の中で、基幹産業の目指すべき方向や金属素材共通の課題等について、業種横断的に「知恵と経験」を共有し、その方策を提示するためのスタートを切った。

直接的な背景となったのは、ユーザー産業界から沸き起こっている「鉄だけ、 非鉄だけでは駄目。 素材の組み合わせによる相乗効果が重要」「鉄、アルミ、マグネシウム、チタン等各素材の要点を最適配置するための可能性を探る」「企業間連携によって開発スピードを加速させる必要がある」「異なる素材を紛体化・混合してこれまでにない機能を発揮させる可能性を探る」等の切実な声を受けたことによるもので、具体的には 「超ハイテン材の開発、 アルミ車体への採用等ユーザー企業から金属素材の高度化」と「マルチマテリアル化」への要請の高まり等にも視点を置いた取り組みを積極的に進めることになる。

代表的な課題として挙げられているのは、中・韓の追い上げや国内需要構造の変化とエネルギーコスト、設備の老朽化、過剰能力に通商摩擦等国内外の競争制約、最適生産管理や設備リスク管理等のリアルタイムの管理や航空機部材等の高品質、小ロット製品への品質要求対応等、ビッグデータに基づいた分析強化への対応など。こうした課題への対応策としての「素材の高度化」と「マルチマテリアル化」 の実現に向け、材料設計技術、製造技術、分析・評価技術を官民で開発しそれらを支える融合人材の育成を図る。更に、国内製造業の基盤強化として、「産業事故の防止」「事業再編による競争力強化」「エネルギー・環境問題への対応」「デジタル化が及ぼす変革への対応」 にも取り組む。 このほか、グローバル化への対応については、 障壁のない市場環境の構築や重要技術管理の厳格化、原材料供給リスクへの対応としての非鉄スクラッブのリサイクルシステムの構築、 鉄スクラッブの異物除去技術開発なども進める方針だ。

電炉再編は不可避

同プランのなかで、普通鋼電炉業界に関しては事業再編が不可避としており、各社における生産設備の一層の集約、企業間の統合、業務提携、海外需要の開拓、産業廃棄物の溶解処理など、電炉の特性も活かした取り組みを進めることなどを提起している。鉄リサイクル業界にとっては、電炉再編の進展は需要の更なる低下による国内循環スキームの崩壊につながりかねないだけに、今後の動向が注視されるところだ。

自動車リサイクル法 特預金等で循環後押し 低コスト化や再生材需要喚起など

自動車リサイクル法の見直しを検討する産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルワーキンググループと中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会の第41回合同会議がこのほど開催され、「自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書(案)」に関する審議が行われた。 そのなかで、自動車リサイクル制度の「あるべき姿」の実現に向けた具体的取組について、まず、自動車における3Rの推進・質の向上として、環境配慮設計・再生資源活用推進による解体・破砕段階でのリユース拡大・リサイクルの質の向上を図り、ユーザー負担の軽減など社会的コストの削減への好循環を生み出す必要があるとされた。

具体的には、環境配慮設計によって取り外し性が向上し、容易にリユース・リサイクルを行うことができるようになった部品・素材については、ASR予測発生量からその重量を除外することでリサイクル料金を引き下げ、車種間の差別化を行うこと、更に解体・破砕によって得られる再生資源については、再生資源の需要を喚起し、その付加価値を高めていくことなどとされている。ただ、再生資源に関しては需要が高くなく、価格優位性も低いことから、再生資源が広域的に効率よく収集・供給される環境整備と、ユーザーインセンティブとしての特預金の活用などが盛り込まれた。

この特預金は中古車の輸出を行ったもののリサイクル料金の返還請求がなかったものや、事故等によりフロンの破壊の必要がなかったもの等、再資源化のために使われることがなかったリサイクル料金で、平成25年度末時点で約100億円の残高が存在する。この利用については公益性の高い資金であることを踏まえつつ、指定法人業務に必要な情報システムの改修等リサイクル料金の低減につながる使途への出えんを優先しながら、なお余剰するものについてリサイクル料金を割り引くことでユーザーに還元すべきで、その際、再生材を多く使用した自動車を中心に割引を行うなど、資源循環の促進の観点から効果的な使途を検討すべきとした。

このほか、引取業のあり方については、自動車リサイクルシステムの入口としての機能を十分に果たすことが重要とされ、ユーザーに使用済み自動車の価値を還元していくような情報発信の必要性を指摘。不適正処理対策では、自治体等との連携の下での対策や講習制度などによる解体事業者の差別化、3品目の適正な再資源化に向けた自動車メーカー等による監査強化なども盛り込まれた。更に次世代車や素材多様化への対応に向けた技術開発や炭素繊維強化プラスチック車等に対するセーフティネット構築、発展途上国などへ我が国自動車リサイクル関連事業者の国際資源循環支援などといった競争力強化に資する形での国際貢献を進めるべきとしている。

PET関連7団体 キャップリサイクルの経済性は”良” システム構築に期待大きく

PETボトルリサイクル推進協議会やプラスチック容器包装リサイクル推進協議会ら、プラスチックリサイクル関連団体や小売業界団体など7団体は、ペットボトル用プラスチックキャップの店頭回収・リサイクル実証事業に取り組み、このほど、その結果を取りまとめた報告書を公表した。 現在、PETボトルのリサイクルは高度化し、ボトルtoボトルの水平リサイクルが実用化するなど、質、量ともに、循環型社会をリードする取り組みとなった。そうしたなかでPETボトルには欠かせない部材であるボトル用プラキャップのリサイクルにも、関心が高まりつつある。しかし、これまでNPOなどによる草の根運動的な回収・リサイクル事業が主流となっており、関係事業者による店頭回収・リサイクルの課題や評価等は行われてこなかった。そういったなか開始されたこの実証事業では、プラキャップの回収・リサイクルの適性等を検証して、多様な回収・リサイクルシステム構築を目指す。

実証の概要は、埼玉県を中心として、関東地方に約140店舗を展開するスーパーマーケットチェーン「ヤオコー」の全店舗に回収ボックスを設置。回収した使用済みプラキャップは専用回収袋に収納しヤオコーの物流便で、ヤオコーの物流センターに集荷した後、リサイクル業者(この実証事業では進栄化成)が集荷するというもの。リサイクルされたキャップ由来のリサイクル・ペレットは、通常はプラスチック再生材料として成形加工業者などに販売されるが、今回は、最終製品(バスケット、防災ヘルメットなど)に加工する。

取組は昨年5月7日からスタート。発表によると、10月 31 日までの約 6 か月間で総回収重量は、1万7530kg、一日あたり 98・48 kg(キャップ換算4万2817個相当)、1日1店舗あたり0・72kg(同  313個相当)であった。なお、回収されたキャップで、リサイクル材に向けられた適品は1万7403.3kg(良品率99・28%)と高いレベルになっている。また、懸念された異物混入は、全期間を通して、合計126・4kg(異物混入率0・72%)と当初の想定を大きく下回る好結果となった。このことから、報告書では、ボトル用プラキャップの店頭回収では、良品の回収率が高く、質の良い効率的なリサイクルが期待できると結論付けている。

一方、回収されたキャップからリサイクルされた再生ペレットは、総量が1万7千kgで、総回収重量の 97 %と、かなり高い収率(ペレットへのリサイクル率)となっている。このリサイクル・ペレットの材質は、65%が高密度ポリエチレン(=HDPE。ホワイト 38%、グリーン 27%)、35%がポリプロピレン(=PP。ホワイト28%、ブラウン7%)であり、ボトル用キャップの素材は、HDPEが多く、次いでPPであることが確認されている。 この事業では、最終製品として、当初、マイ・バスケット、防災キャップ等を予定していたが、得られたリサイクル材の品質が想定よりも良好であり、物性などの仕様も比較的良い事から、全量を店舗の業務用クレート用に向けた。 なお、回収からペレット化工程に係る総費用は、概算でkgあたり 50~55 円と試算され、得られたリサイクル材の品質から、想定売価がkgあたり100円台で取引できる可能性が高いため、報告書では、「ボトル用プラキャップが質の良いリサイクル材と位置付けられ、経済原則に即したリサイクルシステムの構築が期待される」と分析している。