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WEB資源新報BackNumber 2017年3月

小型家電リサイクル 回収増へ事例など発表 環境省が市町村意見交換会

小型家電リサイクルの市町村意見交換会

小型家電R市町村意見交換会

環境省では先ごろ、小型家電リサイクルの更なる促進に向け「市町村の小型家電リサイクルの取組に関する意見交換会」を開催した。平成25年4月から開始した小型家電リサイクル制度は、回収量が当初の見込みを下回る状況が続いている。こうしたなか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの入賞メダルを小型家電リサイクルで製造することが決定、今後、更なる回収量増が求められている。こうした点を踏まえ、この意見交換会は先進的な取り組みを行っている市町村の取組状況などについての事例発表や自治体同士での意見交換を行い、小型家電の回収増につなげることを狙いとしている。 なお、制度により、平成27年度に回収された小型家電は約6万7000トンとなり、目標の14万トンを大きく下回っているのが実情だ。

まず、各市町村での取り組みとして、東京都板橋区、兵庫県住吉町、鳥取県鳥取中部ふるさと広域連合会、香川県丸亀市の4者による事例発表が行われたが、取り組みとしては、ボックス回収等に加え、粗大ごみからのピックアップ回収やステーション回収に力を入れている様子が発表された。他方、課題として資源相場の値下がりに伴い認定事業者等への売却価格が下落していることが指摘され、事業として継続できるか疑問といった指摘も出た。

次いで、小型家電リサイクル市町村支援事業について、北海道奈井江町、青森県弘前市、栃木県宇都宮市、千葉県南房総市、富山県立山市から発表が行われた。市町村支援事業は、環境省が市町村の実情を把握した上で課題を抽出し、改善メニューを提案、市町村がその結果を検証するという平成28年度からスタートした制度。支援を受けた自治体における実証結果に関しては、回収量の増加や粗大ごみ処理費の減少といった効果も認められたが、こちらでも一部自治体から売却単価の下落が課題という指摘が上がっている。

この後、東京オリンピック・パラリンピックのリサイクルメダルに関するこれまでの取組として、青森県八戸市・秋田県大館市・岩手県一関市の3市連携や愛知県大府市、岡山県岡山市の取組が紹介され、オリンピックというPR効果などで回収増につながったという報告もあった。他方、このオリンピックメダルプロジェクトに市町村は、参加認定事業者を通して参加する形になるため、一部市町村からは小型家電を引き渡している認定事業者がメダルプロジェクトに不参加の場合、市町村が参加したくとも出来ない点が指摘されたほか、プロジェクトを回収のPRに使用したくても大会組織委の縛りが強すぎる、といった声も挙がった。

対中再資源化貿易 廃プラ等に危機感 政府部門で更なる取り締まりも

廃金属や廃プラスチックなどの中国向け再資源化貿易の停滞が伝えられる。これは、先に中国税関部門が密輸などの防止のために水際での検査厳格化に取り組んでいる「国門利剣2017」(本紙既報)によるものとされ、中国向け輸出事業者からは、出荷した貨物の滞留や関係者の逮捕、資金回収遅延など様々な情報が伝わってきている。

今回の中国税関部門による密輸対策では、廃金属や廃プラが重点取り締まり品目の対象とされ、輸入されたコンテナ貨物の全量検査なども行われている模様。更に輸入ライセンスの名義貸しなどの対策として一部GPSを用いた追跡調査なども実施されているという。これまでも中国税関によるこれら輸入再生資源に対する取り締まりとして、グリーンフェンスなどが行われてきたが、今回の取り締まり強化に関し、一部の廃プラスチック輸出事業者からは「原油相場の値下がりもあってダブルパンチの影響を受けている。主力マーケットへの販路縮小と相場低迷で事業の継続は困難な状況に陥りつつある」といった悲鳴も聞かれる。

更に中国の税関、環境保護部、公安部、質検総局では、今月上旬にも11月まで輸入再生資源に対する管理監督の強化する方針を示している。これは輸入から中国内の再資源化企業までの流れにおける環境上不適正な処理や密輸などといった違法行為を行う企業の取り締まりを目的に、「国門利剣2017」と併せた規制強化措置だ。

この措置について中国政府部門では、海外からの産業系廃棄物や電子廃棄物、生活ごみ、廃プラスチックなどの中国での流れを把握することで、再資源化貿易の適正化を図ることを狙いとしており、そのなかで廃プラ輸入加工企業への査察が重点項目の1つに取り上げられている。11月まで続くという今回の措置が我が国からの対中再資源化貿易に少なからぬ影響を及ぼすと見られ、廃プラなどの輸出関係者では、固唾を呑んで現地の動向を見守っているというのが現状だ。

丸栄 本社事務所をリニューアル 狙いはホスピタリティ向上等

新設した本社事務所棟

新設した本社事務所

鉄スクラップを中心とした金属リサイクルや産業廃棄物処理事業を手掛ける株式会社丸栄(本社・埼玉県久喜市桜田5―18―9、諏訪丈晴社長)では先ごろ、総工費2億円を費やした3階建ての本社工場事務所のリニューアル工事を終え、新事務所での営業を開始している。

諏訪社長は「今回の事務所のリニューアルには3つのポイントがある」と語る。整理整頓が行き届いた新事務所には、エレベーターを設置。来訪者のために会長及び社長室へのアクセスを容易にしただけでなく、最上階まで移動すればヤードの全景を一望でき、処理の流れも把握しやすいという、顧客に対するホスピタリティの向上を図ったのが第1のポイントだ。 次のポイントとして、こうした顧客へのホスピタリティを実践する従業員の意識向上に繋げるべく、職場環境の改善も図った。一人一人にロッカーを備えた従業員専用の休憩室を完備したほか、女性専用の更衣室も設置。更に、業務に携わる全社員が研修等を受けることも出来る最大60名収容の会議室を設けている。

また、現場の作業員も含めた全社員にデスクを用意したのも、スクラップディーラーでは珍しいことと言える。これは「現場の作業員といえども、今後はPCを用いた業務が増えていく」(諏訪社長)ということを見据えたものだ。例えば、廃棄物処理の環境負荷低減でのIoT技術の活用や国の進める産業廃棄物マニフェストの100%電子化など、リサイクル業界にも処理適正化・高度化に向けてのIT活用の波が押し寄せている。こうした時代の要請に、全社的に対応していくことを目指したものと言えよう。
このほか、市の求める鷲宮工業団地内での緑化面積率20%に対応すべく、事務所棟周囲及び駐車場スペースには緑化舗装を実施しており、同社ではコンプライアンスを重視した経営を更なる成長に繋げていく方針だ。

高度化にも取り組み ダスト選別で付加価値創造
トロンメル回転選別機

トロンメル回転選別機

また、丸栄では今回の事務所リニューアルというソフト面での整備だけでなく、ハード面でも約1億円の投資も行い、処理技術の向上も進めてきた。同社が掲げた「リサイクル技術の高度化による廃棄物の再資源化及び再生燃料の開発」事業は、全国中小企業団体中央会の平成25年度中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業に採択。国からの助成を得て、本格的にシュレッダーダストの選別に取り組んでいる。

平成27年度より本格稼働を始めた新たな選別ラインでは、10mmアンダーから100mmオーバーまで対応可能なトロンメル回転選別機に更に2つの選別ラインを設け、シュレッダーダスト内に含まれる銅やアルミなどの金属資源の抽出を行っている。諏訪社長は「比重にもよるが、ダスト重量から2・5%から20%程度の金属資源の回収を実現した」と胸を張る。 相場の回復に伴い、鉄リサイクル業界は昨年の厳しい状況からようやく一息つくことの出来る状況となったが、業界を取り巻く環境は、少子高齢化に伴う発生の減少傾向に加え、業者間による過当競争による収益率の低下などで将来にわたって構造的な問題が指摘されている。そのなかで、同社をはじめとしたシュレッダー業者にとっては、中国系事業者等によって、本来母材となるはずの雑品スクラップが国外に流出、工場稼働率の低下に悩まされてきた。今後は廃棄物処理法改正により、不適正な事業者等に一定の規制がかかる方向となったが、雑品流出にどこまで歯止めがかかるかは現状不透明だ。

ただ、いずれにせよ適正処理は無論のこと、高度なリサイクル技術の開発は社会的な要請となってきているのは言うまでもない。こうしたなかで、同社の取り組みは、他者との差別化を図り、リサイクルに新たな付加価値を創造するものと言え、国の制度や構造の変化を見据えながら、社会から選ばれる企業としての対応を積極的に進める同社の更なる飛躍が期待されるところだ。